アート・カルチャー

2006年2月26日 (日)

文化庁メディア芸術祭に行ってきました

先日の金曜日、恵比寿の東京都写真美術館で行われている『文化庁メディア芸術祭』に行ってきました。メディア芸術とは『映画、漫画、アニメ、及びコンピュータその他の電子機器等を利用した芸術』だそうです。早い話、ちょい昔ならサブカルチャーと言われたものが、かなり社会、経済にも影響を与え始めたので、国がやっと重い腰を上げてそれらに協力的になったことを意思表示した展覧会みたいなものです。(なんちゅー説明だ……) いずれにしても、新しい才能や隠れた才能にチャンスを与える場が設けられたこと自体は喜ばしいことです。

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2006年2月 8日 (水)

なつかしいMacのドット絵

パソコンのデータを整理していたら、なつかしいものを見つけました。

見事でしょ? これドットを一個一個うって描いたドット絵の花鳥風月画です。今から20年前、私が”演算星組”という会社のスタッフだった頃の仲間、故:池田友也氏が描いた傑作です。

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2006年2月 2日 (木)

ナムジュン・パイクとビデオアートの思い出

先日、ラジオを聞きながら仕事をしていたらナムジュン・パイク氏が亡くなったというニュースが飛び込んできました。

「ナムジュン・パイクかぁ…」

ナムジュン・パイク氏は韓国出身の現代芸術家であり、メディアアートのひとつである『ビデオアート』の創始者でもありました。

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2005年12月 4日 (日)

北斎はすごい!~北斎展

上野の国立博物館(平成館)で開催されている『北斎展』に行ってきた。以前から行こうとは思っていたのだがバタバタしているうちに行きそびれ、最終日の今日になって慌てて赴いた次第だ。最終日なので午後から行くと混みあってゆっくり観れないだろうと思い、午前の開場にあわせて行ってみると、あらら!皆考えることは同じなのね。既に館の入り口の前には想像を上回る長蛇の列ができあがっていて、入場までに30分ぐらい待たされてしまった。

      

入場後、これでやっと鑑賞できるぞと思ったのもつかの間、当然ながら会場内は大混雑で鑑賞などという優雅なことなんかやってられない。しかたがないので、客が群がっている北斎の人気作品(主に版画)は駆け足で鑑賞し、何故かあまり人が群がっていない肉筆作品をメインに鑑賞した。(肉筆の作品なんかめったに観られないしね。版画は所詮印刷物だし)

で、感想――

ため息が出た。すばらしすぎて。すべてにおいて完璧なのだ。デッサン、タッチ、色彩感覚、構図、そしてアイデアと物語性… 印象派の連中が絶賛するのも分かるよ。北斎は商業美術家なので、印象派の連中のような芸術家と違って寡作ではない。現代の漫画家やイラストレイターのようにニーズに合わせて大量に作品を発表している。しかも、その一点一点が印象派の連中がうなるほどのクオリティーなのだ。まさに天才。よくある俗説で『一人の人間がこんなハイクオリティーの作品をこれほど大量に描けるわけがない。”北斎”は個人名ではなくプロダクションみたいな工房名だったのでは?』というのがあるが、いやマジでそう思ってしまう。

私が北斎の絵を観ながら特にうなったのは、そのデザインセンス。つまり構成力と記号化の匠さだ。大胆かつ緻密に計算しつくされている。下の2作品は会場ではあまり客が群がらなかったものだが私はしばし魅入ってしまったものだ。

            

(左:『玉巵弾琴図(ぎょくしだんきんず) 北斎宗理図 寛政八年』  右『日月龍図(じつげつりゅうず) 享和年間 画狂人北斎)

左の『玉巵弾琴図』は画面の左下から右上へ流れる雲の曲線とそれに絡む龍の曲線、そしてポイントとなる琴とのバランスが秀逸だ。右の『日月龍図』もすばらしい!これは『朝日』『雲間の龍』『三日月』の3つの単独の作品を並べ、かつ、対象物の高さを変えて、三図一体で一段と雄大な天空の世界を表出させている。この発想はすごい! 私はこれらの作品を見て『これって現代アートじゃん』と思ってしまった。

あと下の作品もうなってしまった。

これは『阿蘭陀画鏡 江戸八景~駿河彫甼(おらんだえかがみ えどはっけい するがちょう)文化年間 北斎先生図)という作品で西欧の遠近法やエッチングの技法を取り入れているそうだが、驚くことに、これ、エッチングではなく木版だということだ。私は北斎などの浮世絵師達の作品は『版木師』や『刷り師』等の技術者なしにはありえなかったと思っている。昔、『塩とたばこの博物館』で開催された『浮世絵版木展』で、本物の浮世絵の版木を見たことがあるが、その版木に彫られまくられた0.1ミリの線を見て、『こんな細い線を彫るとは人間技じゃねえ! これはきっと身長50センチの人が彫ったんだろう』と冗談を言ったことがあるが、それぐらい驚かされる技術者がいたからこそ北斎の緻密でハイクオリティーな絵が多くの人々に楽しんでもらえたのだと思っている。その典型的な作品が上の作品の木版だろう。ちなみにこの作品、横10センチぐらいの小さなものだ。どうです? その驚異の技術力に驚愕しませんか?

いやぁ、北斎恐るべし。版木師も恐るべし。しかし日本って江戸時代までは北斎のような世界に負けないクリエイターがたくさんいたんだよなぁ。ところが明治に入って一部のアホどもが欧米化を目指し、以前の日本の美術を否定し『権威』という『創造性のない無用の長物』を輸入したばかりに日本のアートシーンが”たいくつ”になったんだよなぁ…。 そういえば、私の大学時代の恩師が『芸大は明治でやったことの責任をとれ!』ってワイン飲む度憤ってたなぁ… (まぁ、時を越えたスケールのでかい愚痴ではあるが…)

会場は外人の客が目立った。いかに北斎が世界のアートシーンに影響を与えたかを証明するかのようだった。なんとなく誇らしい気持ちと、久しぶりに『いいもの』を見て満たされた心とを土産に会場を後にした。

小雨降る中、ついでに私が大好きな国立科学博物館も覗いてみた。旧館は工事中で閉館(チェッ! いつも入り口でウエルカムしてくれるチラノの化石に会えなかったよぉ~…)。 新館のみ通常展示を行っていた。新館は『子供達にもっと科学と技術に慣れ親しんでもらおう』というコンセプトの基にその展示物が企画されていた。でも、これ子供向けにしてはすごすぎるぞ!

   

上は言わずとしれた零式艦上攻撃機(本物)。下左は宇宙で諸々の実験を行う為に打ち上げられた人工衛星(本物)。そしてその左は日本最初のペンシル型ロケットやラムダ型?(カッパ? ミュー?)ロケット(本物)と、なぜかロケットのブースター(本物)。 特に零戦には感動したなぁ… 年甲斐もなく興奮して係員に『これ、写真撮ったらマズイですかね?』と訊いてみたら『ああ、いいですよ! フラッシュもOKです』と答えられ心の中で大はしゃぎ。――で、上の添付写真となったわけで。

『日本は絵にしても、技術にしても、かなり優秀な国なんだなぁ… なんか誇らしいなぁ…』――なんて、国粋な想いをめぐらせながら科学博物館を後にし上野駅へ向かった。途中、上野の森美術館で『ガンダム展』をやっていた。『なんで美術館でガンダムなんだよ?』と思ったが、すぐに『そうか。ガンダムのMSって、技術立国日本らしい発想だよな』と思い直し、ちょっと愉快になった。

(ザクのモニュメントに群がるガンオタども……いや、ガンダムファンの皆さん)

 

――科学者や技術者が大好きな文鳥